徳島県に電車がない理由は?汽車しか鉄道がない唯一の都道府県 | くまっちアンテナ

徳島県に電車がない理由は?汽車しか鉄道がない唯一の都道府県

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徳島県は唯一電車がない都道府県ということはみなさんご存じでしょうか。

電車がないなら今走っているJRは何?と思う方もいらっしゃると思いますが、徳島で走っている鉄道は電車ではなく汽車(正確には「気動車」ですが、徳島県民からの呼称に今回は合わせていることを鉄道ファンの方々はご了承頂けると幸いです。)になります。

電車と汽車の違いから、徳島県に電車がない理由・汽車しか走っていないからこその魅力や、電車がないからこそ生まれる徳島県民の県民性などを紹介していきます。

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徳島県内に電車はない!汽車しか走っていない理由は?

徳島県以外の他の都道府県の鉄道は汽車→電車というように変化をしていきました。

電車を走らせるためには線路の上に電線を架ける必要があり、この動きを電化といいます。

全国的に電化していく中で徳島県はその中でなぜ電化しなかったのでしょうか。

その理由を見ていきたいと思います。

高徳線のトンネルの断面積が小さく工事が難しい

元々汽車のために作られたトンネルは、汽車が通れるようにしか作られていませんでした。

その為、電線を通すためには天井の拡張や盤下げなどの大規模な工事を行わないと難しく、トンネルの工事をするとなると多大な費用に加え、工事をしているときの電車の運行にも影響が出るため簡単にできないことが現状です。

四国新幹線の計画が進まない

新幹線と言えば電気で走る高速鉄道として皆さんご存じですよね。

四国にも新幹線の計画が実は存在しています。

路線としては四国だけにとどまらず、本州や九州をつないで全体の利便性をよくしていこうというものです。

しかしながら、お金がかかること(特に本州や九州をつなぐための橋は相当なものになります)や、実際の費用対効果など様々な観点から実際は難しいところになっています。

電化の波に乗り遅れた

汽車は元々蒸気機関車が動力として先頭にいて、動力がついていない客車をけん引していく形が当初はとられていました(煙がモクモクしているSLなどを想像していただけるとわかりやすいと思います)。

そこからの変化として、気動車(現在徳島で言われる汽車です)タイプの煙を盛大に出さずに、現在の客車の1車両ずつにそのまま動力がついている形への転換(無煙化)が行われています。

無煙化が比較的早くから進められたことにより、逆に鉄道近代化のメインになった電化の波に乗り遅れてしまったという部分もあったようです。

次の次の章でお伝えしますが、徳島県の幻の電車計画も存在しましたが立ち消えてしまいました。

そうしていくうちに、汽車自体の技術の進歩により、汽車でも100km/hを出すことが可能になり、スピードアップや輸送力強化が電化によらなくても可能になっていきました。

また、地元の人々は基本的に車社会で生きているため、鉄道に対する需要が増していくことは今後もないと思います。

徳島県は人口が減少傾向で推移していることから、貨物についても同様に需要がこれから跳ね上がるということはないでしょう。

JR四国自体の財政もとても厳しく、今後多大なコストをかけてまで電化していくということは無いと思われます。

電車と汽車の違い

電車と汽車の違いとしては、主に動力とそれに伴う音の違いが挙げられます。

電車とは

動力:パンタグラフから給電→電気を利用してモーターを動かす
音 :モーター音

電車の動力は漢字からもわかるように電気になります。

線路の上にかけられている電線からパンタグラフ(電車の上に”<>”のような形でついているもの)を利用して電車線から電気を送られています。

その電気を使用してモーターを動かして走行します。

常に電気を送られているため、燃料の補給をすることなく走ることができます。

しかし、停電が起きると、電力供給が無くなってしまうため、基本的にはそうこうすることができなくなってしまいます。

短時間使用可能なバッテリーがついている車両は、次の駅まで走行することもできるようです。

また、走行時に停電が起こった場合は停電が原因で急ブレーキがかかると行ったようなことはなく、惰性で走れる距離に関してはそのまま走行することが可能です。

電車の走行時に主に発せられる音は、車輪を動かすためのモーター音になります。

線路と車輪や各電車の連結部分に関する音も聞こえます。

汽車とは

動力:ディーゼルエンジンで発電→電気を利用してモーターを動かす
音 :エンジン音+モーター音

徳島県内で走る汽車は、ディーゼルエンジンを搭載しており、エンジンで発電をして、その電気を使用してモーターを動かして走行します。

その為、電線が途切れたり停電といった外的要因によるエネルギー供給が急に途絶えるということはありません。

燃料は車両基地で給油しており、通常の運行の少なくとも2倍程度は積んでいるそうです。

汽車の走行時に主に発せられる音は、発電をするディーゼルエンジンの音+車輪を動かすためのモーター音と、2つの音が重なります。

その為電車よりも音が大きくなる傾向があります。

線路と車輪や各電車の連結部分に関する音も聞こえます。

徳島県内の幻の電車計画

徳島県内に電車を走らせる計画が過去にありました。

その計画と幻になった事情を紹介します。

阿南電気鉄道

国の指示により電化することができなかった

1911年に徳島市二軒屋を起点とし岩脇に至る路線の敷設が計画され、阿南電気鉄道設立の申請が行われました。

この申請に国(鉄道院)は、徳島-小松島間にはすでに阿波国共同汽船に対し免許を出しているため、路線の重複をさけること、電気鉄道を蒸気鉄道に変更することなど指示したことにより、徳島県内初の電車の誕生は立ち消えになりました。

この路線はその後国に買い取られることになります。路線の重複や蒸気への変更はそのことを考えたうえでの指示であったかもしれません。

阿波電気軌道

電力供給の目処が立たなかったため、電化することができなかった

1908年に撫養町と徳島を結ぶ路線が計画され、1911年に阿波電気鉄道に免許が出ました。

阿波電気鉄道は国からの蒸気鉄道への変更のお達しはありませんでしたが、電力供給元として予定していた徳島水力電気の発電能力には余裕がないことが判明します。

独自で発電所を建設するには莫大な資金がかかるため、当面は蒸気鉄道に変更することにしたところ、その後電化されることはなく、最終的に「阿波鉄道」と社名変更し、国に買い取られた後も現在に至るまで電化されることはありませんでした。

汽車だけが走る徳島県の完全非電化路線の魅力

電線がない線路を楽しむことができる

上記のように電化されることは無く、電車が走ることは無かった徳島ですが、この完全に非電化な路線にも魅力は当然のようにあります。

それは電線が線路の上に全くないことです。

線路の上に電線がないことのよさは、先頭車両や最後方車両の運転席越しに見る景色がとてもきれいなことです。

電線がないため、空を見たときの障害物がなく開放的な景色が広がっています。

電線がない線路の眺めが好きで、一時期徳島に住んでいた時、九州へ帰省する際は先頭車両に行きその眺めを楽しんでいました。

徳島の人にうっかり「電車」と言うと「汽車」と訂正される

「電車」ではなく「汽車」が走っているということは徳島県民の共通認識

くまっちは大学生のときだけ徳島県に住んでいましたが、徳島県民に徳島県内の鉄道に関して「電車」とついうっかり言ってしまうと、「汽車!」と訂正が入ることがよくありました。

大学生同士といういちいち突っ込んでも関係性に特に問題がないような間柄だったこともあいまって、余計にこういうやりとりが頻繁に起こったのかなとは思っていますが、徳島県民は徳島県には電車ではなく汽車しかないことを自覚していて、それを一つのアイデンティティとして持っているのだなぁと感じました。

また、それまで電車にしか乗ってこなかった自分にとっては、線路を走る車両は電車だけじゃないんだなということを強烈に印象付けさせられた出来事でした。

この教育を4年間されてきたからか、特に鉄道に関して興味がない他のエリアの人たちに比べると、汽車に関しては大学生になったころから少し敏感に反応するようになったなぁと自覚しています。

徳島県に電車がない理由のまとめ

今回は徳島に電車がない理由にフォーカスして紹介していきました。

主な理由としては以下のものがありました

・元々の設備(ハード面)が電化にそのまま対応できるものではなかった
・計画はあったが政治的思惑や費用の面で問題が発生し立ち消えになった
・車社会が浸透してしまい、鉄道路線に対する需要がちいさくなった

また、徳島県に電車がない理由以外にも、普段生活していたらなかなか気にすることがない電車と汽車の違いを確認することができました。

徳島県民にとって唯一電車がない県で、線路を走っているのは汽車だということは共通の認識であり、一種のアイデンティティみたいなものを感じたので、もし徳島県民と話す機会がある方は、この話を振ってみると盛り上がるかもしれませんね。

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