イオン小郡ショッピングセンターは、大雨が降った際、度重なる浸水被害による水没を経験しています。
イオン小郡付近で規模の大きな台風の通過や、線状降水帯の発生により大雨が発生すると、インターネット上で
「イオン小郡は大丈夫なのか?」
と気にかける人たちも多くみかけます。
しかしながら、度重なる浸水の度に対策を行った結果、現在は、要塞とまで言われるようになり、水没に対して盤石の態勢を整えています。
要塞化までの経緯を改めて確認してみると、次は水没させないという気概で、水没の度に大規模な改修を行っており、人間vs自然のドラマすら感じました。
- 浸水は過去3度発生し、直近の発生は2023年
- 止水板の増強・外周土手のかさ上げ・出入口の集約などの対策により、2024年以降は浸水被害なし
イオン小郡の水害に対する歴史をすべて知りたい方はぜひ最後まで読み進めてください。
イオン小郡ショッピングセンターと水害に関する概要
イオン小郡の開業
イオン小郡の開業は2013年11月8日です。
福岡県小郡市の宝満川沿いの低地に立地しています。
「店内被害」の浸水が確認された年
店内まで浸水被害により水没したのは、以下の3回です
- 2018年: 約120cm 浸水
- 2019年:約40cm 浸水
- 2023年:浸水の深さの記録なし
イオン小郡ショッピングセンターの水害関連年表
ここからは、浸水被害が発生しなかった事例も含めて、水害関連について時系列で紹介していきます。
【浸水①】2018年7月6日:平成30年7月豪雨(西日本豪雨)で大規模浸水
周辺道路・駐車場が広範に冠水し、店内に水が流入しました。
小郡市の市長ブログにも「店内にも水が入る様子が全国ニュースで伝えられた」と記録されています。
店内浸水は約120cmと伝え、施設は長期休業を余儀なくされました。
店内消毒作業を含む復旧作業が進み、営業再開は、約3か月後の9月29日に営業再開となりました。
なお、隣接していた「ホームワイド小郡店」は浸水後臨時休業となっていましたが、そのまま閉店となっています。
低地立地・内水氾濫に加え、線状降水帯を伴う記録的豪雨が重なったことが被害の拡大要因と考えられます。
【対策①】2018年浸水後の対策
その後の対策として、同年に高さ80cmの止水壁を200mにわたって設置しています。
【浸水②】2019年7月21日:令和元年7月の大雨で再び店内浸水
大雨により、前年に続いて浸水被害が発生しました。
報道では浸水深約40cmと伝え、前回の120cmの被害と比べると、浸水被害は軽減されています。
対策として前年に設置した高さ80cmの止水壁の効果が表れた形となりました。
また、営業再開は19日後の8月9日で、前回の3か月よりもかなり早い復旧となりました。
【対策②】2019年浸水後の対策
その後の対策としては、以下の項目を実施して水害対策をさらに強固なものとしました。
- 水が侵入した経路沿いの植栽帯を全長約500mに渡って最大1.5mかさ上げ
- 駐車場への乗り入れ部分に止水装置(高さ1m)を設置し、敷地内への水の侵入を防止
- 建物への水の侵入防止対策として、すべての外壁のつなぎ目にシーリング
- そのうえで、お客様用出入口などに止水装置と止水備品を常備
【浸水回避】2019年8月27–28日:大雨特別警報(佐賀豪雨期)
同年8月末に、福岡・佐賀に特別警報が発令され、各地で大きな被害が発生しました。
小郡市内も冠水事例が出ましたが、店内の大規模浸水は公的資料に確認されませんでした。
7月被災後に進めた盛土・止水対策と初動徹底で、拡大を抑えた可能性が高いとみられます。
【浸水回避】2020年6月末〜7月上旬:令和2年7月豪雨期
2020年は浸水被害がなく、水害に打ち勝った年でした。
6月27日、小郡市内で冠水報告が相次ぎ、イオン小郡は安全確保のため臨時休業となります。
同日15時に直営のみ営業再開、専門店は終日休業とする運用が確認されています。
店内浸水の公式確認はなく、SNSの投稿でも「無事だったが臨時休業」と確認されています。
また、7月6日夕方、福岡県に大雨特別警報が発令されます。
筑後地方を中心に記録的な降雨となり、イオン小郡は臨時休業に移行しました。
施設内ATMも立入不可となりましたが、7月8日(水)9:00に営業再開が公表されています。
店内浸水はなく、周辺道路の冠水に対して施設は無事とするSNS投稿が多く確認できました。
【浸水回避】2021年8月13–14日:令和3年8月豪雨
2021年も浸水被害に打ち勝ちました。
8月13日の夜〜14日未明に九州北部で大雨が続き、福岡県にも大雨特別警報が発令されます。
14日は周辺道路の冠水が相次ぎ、イオン小郡は、予防的な臨時休業や営業時間短縮で対応しました。(当時の「台風・大雨による営業時間変更」告知が残存)。ウィキペディア
8月11日以降、九州北部の総雨量は1000mm超に達した地域もあり、小郡市内では道路冠水・通行止めが広範囲に発生しています。
一方で、イオン小郡の店内浸水の発表はなく。現地投稿では「止水板が機能」「店内は浸かっていない」との報告が複数あがりました。
これまでの対策が功を奏し、2022年も特に大きな被害はなく、小郡イオンの浸水はもうないかと思われました…。
【浸水③】2023年7月9–10日:令和5年7月豪雨
盤石化と思われた水害対策で浸水回避の実績を残してきましたが、2023年7月9日夜〜10日未明に、九州北部で線状降水帯が発生し、小郡市の24時間雨量が349mmという記録的豪雨が観測され、3度目の浸水を喫してしまいます。
10日朝にイオン九州が臨時休業を発表し、SNSにも駐車場冠水の写真が多数投稿されます。
悲報 小郡イオン3度目の水没 pic.twitter.com/diV3VIJFKW
— イタチ (@Weasel_pso2) July 10, 2023
小郡イオン 浸水してるやん pic.twitter.com/EbToXNKOwW
— 金太郎 (@NnbLPX2f7NPJ8Tq) July 9, 2023
営業再開は3週間後の7月31日となり、営業休止期間は2回目の浸水とほぼ同等の期間となりました。
【対策③】2023年浸水後の対策
また、浸水が発生するごとに行われた対策は今回も行われ、2024年2~6月に実施されました。
これによって、要塞といっても過言ではない様相になります。
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駐車場出入口の防水板の高さを従来の約1m→約2mへ改修し、地中からせり上がる可動式で、停電時の予備電源も用意
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敷地外周の土手を最大約2m級まで引き上げ、敷地全体を囲う構成に変更
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出入口を10カ所→5カ所に削減し、集約することで止水体制時の封鎖・運用を簡素化
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敷地内の下水・雨水の逆流防止装置を設置し、逆流対策を増強
2024年以降の状況
2024年6月までに行われた更なる抜本的な対策により、その後の線状降水帯や、台風の襲来に対しても、「要塞」の機能をフルに発揮し、万全な対応で浸水からの難を逃れています。
いつも豪雨で水没する福岡の小郡イオン
博多湾の元寇防塁のような築堤で水没を回避した模様 https://t.co/un6zzC4R64— sota (@sota24343104) August 30, 2024
まとめ:イオン小郡の水害史と“現在地”
2018年・2019年・2023年の3度にわたり店内浸水に見舞われたイオン小郡ショッピングセンターは、その都度対策を積み上げ、2024年には防水板・外周土手を約2m級へ増強、出入口も集約するなど、施設全体の防御力を大幅に引き上げました。
2020年・2021年・2024年(台風時含む)は店内浸水なしで乗り切っており、対策の実効性が確認されています。
一方で、線状降水帯の発生や短時間の記録的豪雨など、近年は極端気象の頻度が上がっているのも事実です。
対策は「被害頻度・規模を下げる」うえで非常に有効ですが、リスクがゼロになるわけではありません。
豪雨時に訪問したい場合は各種気象情報や店舗の情報をしっかりと確認し、安全が確保できるかわからない場合は、身の安全を第一に行動をしてください。