アイドル現場はコロナ禍で声出しをすることも難しくなった時期があり、それを機にカメラで推しメンのライブ写真を撮影してSNSに掲載して応援しようと、ミラーレス一眼カメラを持ったアイドルオタクの方も多いと思います。
この記事は、ミラーレス一眼のカメラの設定をマニュアルでしっかり行い、脱初心者をして一歩先へ踏み出したいというカメコのアイドルオタクに向けて、アイドルライブ撮影(静止画)におけるカメラの設定を解説していくシリーズです。
今回はホワイトバランス編です。私はホワイトバランスを設定できることを知ったことで、撮影の設定に関する理解が深まり、そこから撮影にとても気を遣うようになりました。
ホワイトバランスはオートで撮影をしている方も多いと思いますが、ライブ撮影をする際は、実際どのようにすればより良いのか、3年以上地下アイドルを撮り続けた経験をもとに解説していきます。
アイドルライブ撮影において重要な「ホワイトバランス」
まずはホワイトバランスがどのようなものか紹介します。
ホワイトバランスとは
ホワイトバランスとは、白いものが白いものとしてカメラで撮った写真にちゃんと写るように色味を調整する機能です。
白いものは白いもので見えて当たり前でしょ!と思うのは人間が高度な補正を瞬時にしているためにそう思えるだけで、カメラを通した世界では異なるのです。
カメラを通して見た世界では、ホワイトバランスがうまく調整されていない場合、白いものが青白く写ったり、オレンジがかって写ったりと、白いものとして写らない場合があります。
屋外では晴天や曇りの日、屋内では白熱電球や蛍光灯、LEDなど周囲の光の環境によって変わってきます。
・適正な設定ではない場合、想定より青白くなったりオレンジが強い色味になる
ホワイトバランスはカメラが自動で設定してくれるけれど…
ミラーレス一眼カメラをはじめとした現代のデジカメは、ホワイトバランスを自動的に設定してくれる機能が標準で入っています。
「オートホワイトバランス」という機能で「AWB」と表記されています。
自動的に調整をしてくれるので、どのような環境でも白いものが白く写るように可能な範囲で調整をしてくれるのです。
しかし、夕焼けのオレンジがかった景色をそのまま撮りたいと思ったとき、オートホワイトバランスの状態で撮るとカメラがよかれと思って自動で調整するため、思ったよりも夕焼けっぽくない写真が出来上がります。
オレンジの景色をそのまま撮りたいと思ったとき、ホワイトバランスを決める数値である「色温度」を指定して固定することで、好みの色味で撮影することができます。
・夕焼け時にAWBを使用すると夕焼け感が出にくくなるなど、AWBが不向きな場面もある
ホワイトバランスの色味を決める「色温度」とは何か
カメラでホワイトバランスの色味をマニュアル(手動)で決めるとき「○○○○(数値)K」(読み方:ケルビン)と出てきます。
この数値は、カメラの設定で固定化することもできます。
この数字を大きくすると、よりオレンジに写るように色味が設定され、
この数字を小さくすると、より青白く写るように設定されます。
カメラのセンサー素子に写った光の具合を見ながら、オートホワイトバランスは、この色温度を自動で変えているのです。
・色温度は設定であなたが使いたい固定値で設定可能
・色温度が小さいほど青白く写り、大きいほどオレンジ色が強くなる
アイドルライブ撮影でのホワイトバランスのポイント
アイドルライブ撮影ではホワイトバランスをどのように取り扱えばよいか紹介します。
アイドルライブ撮影におけるホワイトバランスの影響
アイドルライブ撮影でホワイトバランスに関して一番気をつけなければいけない事は、なんといっても被写体のアイドルの肌の色がきれいに適正な色味で撮れているかどうかです。
特に肌の色はオレンジがベースのため、ホワイトバランスの影響を受けやすい部分です。
そこで、オートホワイトバランス(AWB)はうまく対応してくれるかという問題になっていきます。
アイドルライブ撮影でのホワイトバランスはAWBかマニュアル(手動)か
アイドルライブはRAW+JPEG形式で保存する形で撮影することが基本です。
RAWデータは色温度をあとから調整しても画質は変わらないとされています。
そのため、「アイドルライブはRAWで撮るからオートホワイトバランスでもよい」と説明しているサイトも多く見かけます。
しかし、私はマニュアル(手動)で適正の色温度に固定して設定することをおすすめします。
「オートホワイトバランスにしておけば、環境変化にうまく対応してくれるから良いのではないか」と一見感じますが、オートホワイトバランスは、写った場面の全体を見ながら調整をかけていきます。
このとき、カメラは被写体のアイドルだけでを見て判断するのではなく、周囲の環境も見ながら全体的に色温度を変更していこうとします。
そうすると、先程お伝えした被写体のアイドルの肌の色がきれいに適正な色味で撮れているかの部分でうまく合わせてくれない場合が出てくるのです。
そのため、マニュアル(手動)で適正の色温度に固定して設定することで、肌の色味が常に適正な状態で撮ることができるようになります。
・設定で色温度固定することで、安定して肌色の色味をきれいに撮ることができる
アイドルライブ撮影のホワイトバランス適正化は速報写真や現像にも効果を発揮
「撮った写真を速報として今すぐ掲載したい」といった場合は、RAW+JPEGで撮影したうちの、JPEGを使用することになります。
そこで問題なのは、JPEGは修正を加えると画質が落ちていくため、最低限の修正にとどめたほうが良いことです。
そのため、色温度は事前にマニュアル(手動)で適正の色温度に設定していると、速報として掲載する際、その写真の画質を落としてしまう工程をひとつ飛ばすことが可能です。
また、RAWで現像をする際も、連続して撮影した一連の写真を選別していくことになるので、色温度は固定のほうが全体の設定値が固定化され、感覚的に現像をしやすくなります。
・マニュアルで設定が固定化されるので、現像のときも修正を行いやすい
アイドルライブ撮影は光の環境が絶えず変わるのにホワイトバランスはなぜ固定で良いのか
周囲の環境が変わるとともに、被写体も周囲の色によって色味が変わるのではないか、オートホワイトバランスのほうがやはりよいのではないか?と思う方もいらっしゃると思います。
しかし、アイドルライブ撮影を行う際、メインで使う光は決まっていることが多く、演出などで光の色味が変化していく場合でも、色温度が常に一定のほうが都合が良い状況が多いのです。
それでは色温度はどのように設定すればよいのか。次の項目でシーン別に紹介していきます。
アイドルライブ撮影で色温度を固定する場合のシーン別の数値の考え方
ここからは色温度をマニュアルで設定していく場合のそれぞれの場面に合わせた設定方法を紹介します。
アイドルライブ撮影を室内(ライブハウス等)で行う場合
アイドルライブ撮影をライブハウス等の室内で行う場合に気を付ける点について紹介します。
アイドルライブ撮影を室内で行う場合のホワイトバランス(色温度)設定
ライブハウスでアイドルライブを撮影する場合は、アイドルの前の方から照らす照明にあわせて色温度を設定します。
私が行っている設定方法は、アイドルがステージに立ち、前からの光があたっているときに、実際に画面に表示される肌の色味を見ながら、マニュアルで肌色の色味が一番自然になる数値を選択して色温度を決定する方法です。
ライブハウスでの前から当たる光はオレンジ色が強めな照明が多く、私は3000K前後の状態から数値を前後させて設定することが多いです。
しかし、最近のライブハウスは前からの照明も白いLEDライトを使用するところも出てきており、その場合は5500K前後の状態から数値を前後させて調整することもあります。
数値はあくまで目安ですので、実際にカメラのファインダーや画面で見えた映像で、色味がおかしくないか確認し、微調整をすることが大切です。
・通常の照明:3000K前後から調整
・LEDの照明:白い場合は5500K前後から調整
アイドルライブ撮影の室内撮影で使う光
ライブハウスでは前からの光の他に、周囲をカラフルに光らせて演出を豪華にする光もあります。
そんな中、なぜ前からの光にだけ色温度を合わせたらよいかというと、前からの光がステージ上のアイドルを撮影するときにもっとも重要な光になるからです。
ライブを見ているあなたならお気づきかと思いますが、ステージ上の光は、
・演出浄化のための光
大きくこの2種類に分けることができます。
「ステージ上のアイドルをしっかりと照らす光」は前からの光がメインとなり、この光がない場合は、暗くなるため掲載したいと思う写真を撮ることは難しくなります。
そのため、アイドルの光の明るさを確保して撮影をしたいという場合は、この前からの光がベースとしてあるため、この光に色温度を合わせることで、肌の色味が適正に近い写真を撮影することができます。
アイドルライブ撮影を屋外(野外ステージ等)で行う場合
アイドルライブ撮影を屋外で行う場合は、昼と夜で考え方が異なります。
昼と夜のそれぞれのパターンの考え方を紹介します。
アイドルライブ撮影を昼の屋外で行う場合のホワイトバランス(色温度)設定
アイドルライブ撮影を昼の野外で行う場合、自然光が降り注ぐ状況になるため、室内と異なり、光が均一な場合が多いです。
自然光(太陽光)の場合は、5500K前後の状態から数値を前後させて調整しています。
全体的に光が均一な為、照明に関係なく色味を合わせることができるため、色温度を合わせる環境としては難易度が一番低い環境になります。
アイドルライブ撮影を夜の屋外で行う場合のホワイトバランス(色温度)設定
アイドルライブ撮影を夜の野外で行う場合、周囲が暗いため、環境としては屋内のライブハウスで撮影する場合と同じような状況になります。
その為、アイドルを照らす光(野外の場合様々な照明設定が考えられるため、室内の時の前からの光という表記にしていません)に合わせて、色温度を設定していくことになります。
室内とは異なり、様々な照明セッティングが考えられるため、色温度は状況に合わせて数値を決定してください。
昼:自然光のため、5500K前後から調整
夜:周囲が暗く照明があるため、照明の状況に合わせて設定
アイドルライブ撮影:ホワイトバランス編のまとめ
今回は地下アイドルライブ撮影(静止画)をする際のホワイトバランスの決め方について解説していきました。
大切な項目をまとめると以下の通りです。
・アイドルの肌の色の色味がきれいに出るように色温度の数値を決める
・色温度の数値を決める際は、光の状況に応じて設定方法決める
ホワイトバランスを適正に設定して、より良いライブ写真を撮影していきましょう!
また、地下アイドルライブ撮影で疑問があれば、こちらからご質問ください。
回答できる内容でしたら、ブログ上で回答・解説をさせていただきます。